[20日 ロイター] - <為替> ドルが下落。世界の主要6中銀がドル・スワップ協定を通じた流動性供給の拡充を発表したことを受けた動き。ただ、米株価が下げに転じる中、ドルは終盤にかけてこの日の安値から戻した。
今週はドル需要が高まり、ドルは週間で4.32%高と、2008年の金融危機時以来の大幅な上昇を記録した。
米連邦準備理事会(FRB)はドル資金の需要増に対応し、日銀や欧州中央銀行(ECB)など他の5中銀とのドル・スワップ協定を通じた流動性供給の拡充を発表。これまで毎週行っている期間7日のドル供給を23日から毎日実施し、少なくとも4月末まで継続すると表明した。
ピクテット・ウェルス・マネジメントのストラジテスト、フレデリック・デュクロゼ氏は、ドル供給を毎日実施することは「異例」と述べた。
ドル資金供給拡充に加え、各国中銀が軒並み緊急利下げに踏み切る中、オーストラリアドルAUD=や英ポンドGBP=は数年ぶりの安値に沈んだ。
終盤の取引でドル指数=USDは0.32%安の102.65。
<債券> 国債利回りが低下。ニューヨーク州知事が企業に在宅勤務を命令したことで、新型コロナウイルスが経済に及ぼす影響の深刻さが改めて意識された。
10年債利回りUS10YT=RRは16.6ベーシスポイント(bp)低下し0.9625%。利回りの変動幅は36bpと振れが大きくなった。2年債と10年債の利回り格差US2US10=TWEBは59bpと前日から5bp縮小したが、2018年以来の水準を記録した。
NY州のクオモ知事は20日、全ての非必須とされる事業の営業を停止し、非必須の従業員を自宅にとどまらせる行政命令を発表。行政命令の違反者には罰金が科され、命令に従わない事業は閉鎖されると表明した。カリフォルニア州でも約4000万人の住人に外出禁止令が出された。
ペン・ミューチュアル・アセットマネジメントのマネジングディレクター、ジーウェイ・レン氏は、各州の移動制限強化や米連邦準備理事会(FRB)のレポオペを通じた資金供給拡充などが相場の振れを大きくしたと指摘。トゥルーイスト・サントラスト・アドバイザリー・サービスの債券部マネジングディレクター、アンドリュー・リッチマン氏は、FRBや米政府の対応は金融システムの流動性維持にはつながっているが、市場心理が目先上向く状況は期待できないと述べた。
3カ月物財務省短期証券(Tビル)利回りUS3MT=RRはゼロ近辺で推移。一方、10年債利回りは先週から上昇しており、「米経済はマイナス成長に陥り、FRBは長期にわたり事実上のゼロ金利継続を迫られる」(リッチマン氏)とみられる。
<株式> 反落。主要3指数はそろって約4%下落し取引を終えた。ニューヨーク、カリフォルニア両州が新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、外出禁止令などの厳格な措置を打ち出したことで、経済への影響を巡る懸念が高まった。
また、主要3指数は週足で2008年10月以来の大幅安となった。
しかし、投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は66.04に低下。投資家の間からは売りが幾分落ち着きつつある兆候の可能性があるとの声が聞かれた。
ニューヨーク州のクオモ知事はこの日、全ての非必須とされる事業の営業停止と非必須の従業員の在宅勤務を義務付けるよう命じた。カリフォルニア州でも前日、約4000万人の住人に外出禁止令が発令された。
また、トランプ政権は、米・メキシコ政府が両国の国境で不要不急の移動を制限する方針で合意したと発表。米国は今週、カナダとも同様の措置で合意している。
米国内での新型コロナ感染者数は増加しており、米疾病対策センター(CDC)によると、19日時点で感染者は1万5268人に達した。
ロバートWベアードの投資ストラテジスト、ウィリー・デルウィッシュ氏は、新型コロナが「多くの経済活動、ビジネスに影響する」とし、「株式市場は景気がどの程度悪化するかを見極めようとしている。州全体の閉鎖やネガティブと受け取られるだろう」と述べた。
個別銘柄では通信大手AT&T(T.N)が8.7%安。新型コロナ流行が業績に著しい影響を及ぼす可能性があるとの見通しを示し、40億ドルの自社株買い計画を撤回したことが嫌気された。
また、この日は株価指数先物、株価指数オプションなど4つの取引期日が重なるクアドラプル・ウィッチングだったため、値動きの荒い展開に拍車が掛かったとみられる。
市場では足元、米上院が検討している1兆ドル規模の景気刺激策の行方が注目される見通し。
ロイターの調査によると、エコノミストは世界経済がすでにリセッション(景気後退)に陥っているとの見方が大勢。
ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.27対1の比率で上回った。ナスダックでも1.55対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は185億6000万株。直近20営業日の平均は155億株。
<金先物> 小幅続伸した。リスク警戒感がやや後退して換金売りが細り、安全資産としての需要から買い戻しが入った。中心限月4月物の清算値は前日比5.30ドル(0.36%)高の1オンス=1484.60ドル。週間では2.12%安となった。
米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計によると、20日までに新型コロナウイルスによる死者数は世界で1万人を突破。ただ、各国政府や金融当局が景気対策を急ぐ中、この日は投資家のリスク警戒感が幾分和らぎ、アジアと欧州の株価は持ち直した。
20日午前には、米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀など主要6中銀がドル資金供給拡充の第2弾を発表。企業や金融機関によるドルの現金調達を支援する追加措置を決めたほか、FRBは短期資金の運用手段に使われるMMF(マネー・マーケット・ファンド)市場の安定化強化も発表した。これを受け、損失補填(ほてん)目的の換金売りが細り、金塊は安全資産としての需要から買い戻されたものの、上昇の勢いは限定的だった。
金塊現物相場は午後1時38分現在、7.50ドル高の1481.995ドル。
<米原油先物> 新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした需要減や産油国間の対立を受け、米 国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値は前日比2.79ドル(11.06%)安の1バレル=22.43ドルとなった。一時19.46ドルと、2002年2月以来約18年ぶりに19ドル台を付けた。
5月物清算値は3.28ドル安の22.63ドルだった
新型コロナの感染拡大を封じ込めるため、各国では、外出禁止などの移動制限や国境の一時封鎖などを実施。経済活動の縮小により、エネルギー需要が減少するとの見方から、原油価格は下落傾向をたどっている。主要産油国間の協調減産体制が崩壊。サウジアラビアとロシアの対立が価格下落に拍車を掛けた。
前日は、トランプ米大統領が、原油市場について「然るべき時期に関与する」と述べ、サウジとロシアの対立への介入を示唆すると、急反発した。20日は値を上げて取引が始まったが、不安定な値動き。米メディアが、米政府がサウジアラビアに高官を派遣すると報じた後、供給過剰の緩和期待から上昇したが、その後は再び下落した。ロイターによると、ロシア政府は、米国の介入に不快感を示している。米株式相場が下落に転じたことも、同様にリスク資産とされる原油の売りを誘った。
ドル/円 NY終値 110.80/110.83 JPY21H=
始値 109.96 JPY=
高値 111.5
安値 109.92
ユーロ/ドル NY終値 1.0694/1.0696 EUR21H=
始値 1.0736 EUR=
高値 1.076
安値 1.0638
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 112*22.50 1.4731% US30YT=RR
前営業日終値 105*25.00 1.7510%
10年債(指標銘柄) 17時05分 105*26.00 0.8853% US10YT=RR
前営業日終値 103*15.00 1.1290%
5年債(指標銘柄) 17時05分 103*04.50 0.4806% US5YT=RR
前営業日終値 102*09.25 0.6540%
2年債(指標銘柄) 17時05分 101*17.38 0.3254% US2YT=RR
前営業日終値 101*11.63 0.4210%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 19173.98 -913.21 -4.55 .DJI
前営業日終値 20087.19
ナスダック総合 6879.52 -271.06 -3.79 .IXIC
前営業日終値 7150.58
S&P総合500種 2304.92 -104.47 -4.34 .SPX
前営業日終値 2409.39
COMEX金 4月限 1484.6 +5.3 GCv1<0#GC:>
前営業日終値 1479.3
COMEX銀 5月限 1238.5 +25.1 SIv1<0#SI:>
前営業日終値 1213.4
北海ブレント 5月限 26.98 ‐1.49 LCOc1<0#LCO:>
前営業日終値 28.47
米WTI先物 4月限 22.43 ‐2.79 CLc1<0#CL:>
前営業日終値 25.22
CRB商品指数 123.8847 ‐3.7501 .TRCCRB
前営業日終値 127.6348
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March 21, 2020 at 05:00AM
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