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Sunday, January 26, 2020

「コロナ・ショック」、週明けの市場を直撃 - 日本経済新聞

先週金曜の時点では、欧米市場は世界保健機関(WHO)の緊急事態発動見送りにより、ヘッジファンドも模様眺めを決め込んでいた。ニューヨーク株式市場も買い手不在のなかでダウ平均がズルズルと170ドル安まで下落した。週末を控え、多くのファンドは新型肺炎関連の新たな展開を見守る姿勢であった。

その週末に事態は悪化。中国の習近平政権も、全国人民代表大会(全人代)を3月5日に控え、なりふりかまわぬ強権的封じ込めに動いた。結果として、週明けの東京市場がヘッジファンドの株売り、円買いの仕掛けをまともに受ける展開となっている。米中通商協議「第1段階」の合意を受け、しばし安堵感に浸っていた市場は、不意を突かれた。つい3週間ほど前の「2020年年初予測」では全く想定されていなかった事態でもある。

しかも、新型肺炎に対する地方政府の後手後手にまわる対応は、習近平強権体制の弱点をあらわにした。武漢市では全国の地方政府幹部集会が7~17日に開催されていた。そこで地方当局が冷静を装い公表が遅れたとの指摘もある。市内の病院には、「感染ゼロ」の「目標」が下知され、「未達」だと病院事務長が解雇される懸念もあり、看護師たちが感染事例報告をためらったとの報道も市場には流れている。

今回ばかりは、習近平政権も、「外国分子による陰謀」などに責任転嫁はできず、もっぱら地方政府の医療関係者などを見せしめ的につるし上げているとの見方も市場の不安感を誘発する。

香港、台湾に加え、新たな問題を背負い込んだ習近平氏は、米中通商交渉に関しても、国内向けに弱腰は見せられない。トランプ米大統領はお見舞いのメッセージを寄せているが、通商交渉面では「オウンゴール」を得たと言えよう。

中国経済にも「コロナ・ショック」の影響が拡散しそうだ。特に企業面では、新型肺炎による直接的損害で財務体質はさらに弱まることになる。そもそも、米中「第1段階」で合意したとされる「知的財産権保護」「技術強制移転」への対応が、現行より厳格化されれば、多くの中国中小企業はたちまち立ち行かなくなる。合意事項の履行検証のために設置される「仲裁機関」にも、処理能力を超える「違反疑惑」件数が持ち込まれることになろう。

さらに追い打ちをかけるように、個人消費が萎えるのは必死だ。特に、春節期間の「実質的引き延ばし」は中国の国内総生産(GDP)に直接的な影響を与える。このような経済環境で、米株価は過去最高水準にあり、高値警戒感が強い。ヘッジファンドにとっては、新型肺炎は、格好の利益確定の口実となった感がある。

今週は、米アップルなど主要企業の決算が目白押しだ。28~29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。ボラティリティーの高まりに市場は身構えている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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