「ひるまえほっと」では「かんたんごはん 料理のお悩み大募集」と題して、視聴者のみなさんから日々の料理のお悩みを募集しています(投稿はこちらから)。その中から、今回は2つのお悩みを解決します。
協力してくださったのは、こちらの2人。
お弁当を作って30年以上という料理家、弁当コンサルタントの野上優佳子(のがみ・ゆかこ)さんと、
「料理と科学の関係」について追究、発信している「科学する料理研究家」の平松(ひらまつ)サリーさんです。
まず1つめのお悩みから。
「スパゲッティサラダがダマになる!」
東京都のちろりさんからいただきました。
「スパゲッティサラダがダマになって固まってしまって困っています。ゆであがりのめんに油をまぶすのは油っぽくなるので好きになれません。油をまぶす以外の方法があれば知りたいです。」
というお悩みです。
野上さん流
「ダマにならないスパゲッティサラダ」
<材料>(作りやすい量)
・スパゲッティ … 100g
・きゅうり … 1本
・たまねぎ … 1/6個
・にんじん … 1/4本
・ハム … 3枚
・塩 … 小さじ1/3
<合わせ調味料>
・マヨネーズ … 大さじ4
・酢 … 大さじ2
・マスタード … 小さじ1
・砂糖 … 少々
・こしょう … 少々
<つくり方>
1.スパゲッティは規定時間より1分ほど長めにゆで、しっかり水洗いしてから水に5分ほど浸けて冷ます。
※ポイント:ぬめりをしっかりとって、水の中で冷まします!
→口当たりよく、つるんとした食感になる。
2.スパゲッティが完全に冷めたら、しっかり水けを切っておく。
3.野菜は全て細切りにして、塩をまぶして5分おいた後、軽くもんでからペーパータオルで包んで水けをしっかりしぼる。ハムも細切りにする。
4.ボウルに(合わせ調味料)の半分の量と(2)(3)を加えて混ぜ合わせておく。
5.15分ほどおいたら、残りの(合わせ調味料)を加えて全体をあえる。
※ポイント:合わせ調味料を2回に分けて時間差で混ぜ合わせます!
→ゆっくりスパゲッティに調味料を吸わせていくのでダマにならない滑らかな仕上がりになる。
野上さんの“ダマにならない”スパゲッティサラダのレシピ。
科学的にはどういう理屈なのか、平松さんに解説してもらいました!
まずは、なぜスパゲッティはダマになるのか?
スパゲッティの主な成分は、デンプンとタンパク質。ゆでられると、このデンプンが水を吸って膨らんでやわらかいのりのような状態になり、ゆで汁の中に溶け出していくので、スパゲッティのゆで汁は薄めたのりのような状態になっています。
熱々のスパゲッティをそのまま置いておくと、水分が蒸発して温度も下がっていくことで、デンプンが固まるので、ちょうどのりでくっつけたような状態になってしまいます。これでスパゲッティがダマになってしまうのです。
野上さんのレシピのポイントは?
①ゆでたスパゲッティを水洗いすること。
②水の中でしっかり冷ますこと。
①は表面にのりがついている。これを水で洗い流すということで、非常に理にかなっているのではと思います。
②は、冷めながら、表面が乾くのを防ぐことができます。乾くと多少残っているデンプンで張り付いてしまうので、十分冷めてから引き上げるということで、張り付きにくくなると思います。
続いて、2つめのお悩みは!
「マーボー豆腐のとろみ」について
栃木県の安兵衛(やすべえ)さんからいただきました。
「マーボー豆腐などとろみを維持させるにはどうしたらいいのでしょうか?再加熱をしても、シャバシャバになってしまいます。」
というお悩みです。
野上さん流
「とろみがきれないマーボー豆腐」
<材料>(4人分)
・木綿豆腐 … 1丁
・豚ひき肉 … 200g
・ねぎ … 1/2本
・にら … 1/4ワ
・しょうが(すりおろす) … 少々
・にんにく(すりおろす) … 少々
・ごま油 … 大さじ1
・豆板醤(トーバンジャン) … 小さじ2
・水 … 200ml
・オイスターソース … 大さじ1
・しょうゆ … 大さじ1
・紹興酒(または酒) … 大さじ1
<水溶きかたくり粉>
・かたくり粉 … 大さじ1
・水 … 大さじ1
<つくり方>
1.豆腐はペーパータオルで包み、耐熱皿にのせる。電子レンジ(600W)に2分間かけたら取り出し、お皿を重石代わりにのせておく。
※ポイント:豆腐の水けをしっかりきります!
→電子レンジにかけ、豆腐を温めた状態で重石をすることで時短に。
2.ねぎ、にらを小口切りにする。
3.豆腐の粗熱がとれたら出てきた水けをしぼり、さいの目に切る。
4.フライパンにごま油、しょうが、にんにく、豆板醤(トーバンジャン)を入れて弱火にかける。チリチリと音がしたらひき肉を加え、中火にして炒める。
5.肉に火が通ったら、ねぎとにら、豆腐を加える。水と調味料を加え、沸騰したらふたをして3分煮る。
※ポイント:豆腐をしっかり煮て、中に残った水分を出しきります!
→豆腐の余分な水分を出し、そこに煮汁が入っていく。味がしっかりつき、とろみが加熱したあともきれにくくなる。
6.一度火を止め、水溶きかたくり粉をまわしかける。再び中火にかけ、混ぜながら加熱する。沸騰したら大きく混ぜながら1~2分加熱し、ツヤっとして透明感が出たらできあがり。
※ポイント:とろみがついてから1~2分ほど加熱します!
野上さんのとろみがきれないマーボー豆腐のレシピ。
平松さんに科学的に解説してもらいました。
野上さんのレシピのポイントは?
①かたくり粉を入れた後の加熱時間。
②加熱&重石で豆腐の水分を徹底的にきる。
まずは、とろみとは何なのか?
とろみをつけるのには基本的には植物が作るデンプンを私たちは使っています。
水がある状態で加熱すると、デンプンが水分を吸ってふやけてだんだん粒が膨らんできます。デンプンはブドウ糖が数珠のようにつながって鎖のようになっている分子です。
この鎖状の分子が粒からだんだん粒からしみ出してきて、粒からたくさんの鎖が出ているような状態になり、これが互いに絡み合って網目のようになってくる。そうすると水分の動きが邪魔されるので動きにくい、とろみがついた状態になります。
とろみがきれるとは?
さらに加熱していくと、デンプンはもっともっと水分を吸って膨らんでいき、粒が壊れてしまいます。そうするととろみが失われてしまいます。なので1回とろみがついたものでも、そこから長時間煮込んでいくと、だんだんとろみが失われていくということが起こります。
つまり、かたくり粉を入れてからの加熱時間がポイント!
「水溶きかたくり粉を入れて、沸騰してから1~2分ほど加熱し、火を止める」のがちょうどいい時間なんだそうです。
また、マーボー豆腐の主役・豆腐の水分が、とろみを損ねる大きな原因となります。
豆腐は約90%が水分でできています。加熱によって水分を出してしまうと、周りがシャバシャバになってしまうという問題がありますよね。
白 … タンパク質 青 … 水 赤 … マグネシウム
豆腐というのは、豆乳を「にがり」というもので固めたものです。にがりに含まれるマグネシウムイオンがタンパク質同士を結び付けて、液状の豆乳を固めてプルプルとした豆腐にしています。
これを加熱すると、豆腐がさらに固くなって、水分が絞り出されてくるという仕組みです。
そこで、平松さんから2つのアドバイスが!
①豆腐から水が出るのは当然だと考えて、ちょっと強めにとろみをつけていくのもポイント。(水溶きかたくり粉の分量を増やす、水を少なめにする)
②冷めたマーボー豆腐を温めなおすときは、1人分ずつ小分けにして、電子レンジにかけるとよい。(加熱はなるべく短時間で済ます)
「かんたんごはん」では、これからも視聴者のみなさんのお悩みを解決できるレシピをお伝えしていきます。
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