――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト
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米大統領選について投資家が知らない3つのことは以下の通りだ:誰が勝つのか、企業収益にとって最良なのは誰か、そして市場は誰がより望ましいと考えるのか。
あきれかえっている読者も多いだろう。分かりきったことじゃないか!と。だが株式市場の動きは、2016年大統領選の前のように世論調査の結果にはっきりと沿っているわけではなく、多くの投資家が答えを決めかねていることがうかがえる。さらに悪いことに、投資家は16年大統領選で株式市場にとって最良の候補は誰かを確信していたが、その読みは完全に外れた。
疑問を解くため、市場が好み、また理解できる2つのこと――減税と政府の刺激策――に立ち戻ってみよう。
ドナルド・トランプ大統領は減税を選んでいるが、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領は法人税引き上げを目指しており、民主党が議会で大量に議席を獲得すれば実現する可能性がある。
他方、バイデン氏は刺激策を選び、民主党はホワイトハウスが認める以上に大規模な支出パッケージを要請している。トランプ氏はこの点に関して、混乱を招くメッセージを連発している。米国が刺激策を「求め、必要としている」とツイートしたのに続き、刺激策を巡る協議を停止。その後、規模を縮小した刺激法案にすぐにも署名する用意があると述べた。それでも民主党はなお、向こう4年でトランプ氏より多く支出する公算が大きい。
市場がこの2つの問題のバランスをとるのは容易ではない。S&P500種指数はより強い経済と法人税増税によって上昇するのか、あるいはより弱い経済と減税によって上げるのか。筆者には分からない。このバランスは、どちらが企業利益に一段と影響するかといった単純なものではない。影響の及ぶ時期が異なる。税制変更は利益に長期的な影響をもたらす一方、刺激策は即効性があるが徐々に効果が薄れていく。
市場の中に目を向ければ、もう少し視界が晴れてくる。今年の株高をけん引してきた大型ハイテク株とグロース株は、バイデン氏の増税計画で負け組になりそうだ。金融株のほか、資本財など景気循環株は最も刺激策の恩恵を受けるだろう。
タイミングに関しても同じパターンが当てはまる。グロース株は事業存続期間における将来収益の大部分が何年も先まで見込めないことが多い。このため減税のような長期的な追い風が吹けば好調になる。割安のバリュー株――現在は景気循環株もこれに含まれる――の将来は明るくない。従って、政府の刺激策など短期的な支援の方がより大きな恩恵となる。
言い換えれば、大型ハイテク株にとっては低い債券利回りが好ましい。一方、バリュー株や景気循環株にとっては好景気で利回りが押し上げられる状況の方が有利だ。巨額支出を訴える民主党に対しては、足元の予想を上回るペースで景気が改善し、連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利を早期に脱することができるとの期待が高まる(どちらも国債利回りを押し上げる流れだ)。
市場はそうした見通しをいくらか察知しているかもしれない。ベッティング(賭け)市場は8月、トランプ氏に一段と強く傾き、9月2日には勝率がバイデン氏とほぼ互角となった。この間、大型ハイテク株は大幅に上昇していた。その後、バイデン氏の勝率が再び盛り返し、大型ハイテク株は苦戦した。ただ、16年の選挙期間に比べるとその動向ははるかに不明瞭で、こうしたパターンは単なる偶然ではなかったとしても、結局は数週間前に崩れてしまった、
市場の思惑が不明瞭なのは、選挙前に追加刺激策が実施される可能性が残っていることが一因だが、トランプ氏が上院共和党より政府の支出に前向きなことも背景にある。トランプ氏が財政の帳尻合わせに無関心であることは投資家も知るところだ。
支出拡大が景気押し上げにつながるとの期待から大半の株式が上昇したとしても、ハイテク大手に対するバイデン氏の増税計画は市場全体の足かせとなる十分な威力があるかもしれないと筆者はみている。
その証拠に、今月2日に何が起こったか考えてほしい。トランプ氏が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断されたことで先行き不透明感が増し、相場はいったん軒並み安となった。だがその後、弱い雇用統計によって刺激策導入の可能性が高まったとの見方が強まるとともに急反発。大型ハイテク株は相場回復に取り残された。
S&P500種構成銘柄の3分の2近くは上昇したが、大型ハイテク株の急落は指数を押し下げるに十分だった。経済が好調になれば波に乗るはずの銘柄は上昇した。これには小型株、バリュー株、金融、資本財が含まれるが、ハイテク株の比率が高いS&P500種はいつにも増して、景気期待の目安となりにくい。
上記はいずれも、筆者が正しいという証明にはならない。2016年の結果は、選挙がどちらに転んでも市場はまるで反応を予想できないという注意喚起になるはずだ。ただせめて、われわれが何を知らないかについてのきめ細かな分析は、11月の選挙後に株式市場で起こることを理解する一助となるだろう。
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