日本学術会議の新会員候補の任命見送り問題について、梶田隆章会長は29日の同会議幹事会後に行った記者会見で、見送り理由に会員の出身大学や性別など多様性の確保が挙げられていることに対し、「事実がどうなっているのか、まだ整理できていない」と述べた。一方、同席した幹部は女性会員の比率が増えたことなど改善を強調。「正しい情報を発信する」としつつ、認識で足並みがそろっていない一幕もみられた。
会員の多様性確保については、菅義偉首相が国会答弁で見送りの理由として挙げた。この日、会見に同席した菱田公一副会長は資料を示しながら「男女比は努力した結果、(女性会員の比率は)37・7%まで上がっている」などと説明。報道陣への配布資料でも「これだけ女性の比率が多い政府機関は日本学術会議しかない」としていた。
ただ、改めて多様性に関する現状認識を梶田会長に問うと、「事実としてどうなっているのか、まだ整理ができていない。大きな問題があれば将来的に考える可能性もある」と述べた。
任命見送りが憲法で定める「学問の自由」を侵害しているとした一部の見方については、同席した小林傳司(ただし)アドバイザーが「見送った理由が明らかになっていない。それではどういう意味で学問に影響するのか、つまびらかにならない。直接の回答は差し控えたい」と説明。ただ、最後に「(学問の自由の問題と)無関係だとは思わない」とも語った。
また、会員候補者105人のうち6人の任命が見送られたことで、梶田会長は「会議の活動の著しい制約となっている」と指摘。菱田副会長も「議論をする場ごとに人がいないことは運営上すごく問題」と窮状を訴え、6人の速やかな任命を改めて求めた。
政府から年内に報告するよう求められた組織の在り方に関する内部の検討案については、平成27年に内閣府の有識者会議で同様の検討が行われ、取りまとめられた提言の内容などを基本にするといい、現在の状況が抜本的に見直されることはないとの見方を示した。
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