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Saturday, July 25, 2020

アングル:過熱する中国コーヒー市場、乱入と競争が期待に冷水 - ロイター (Reuters Japan)

[北京/上海 22日 ロイター] - 北京でカフェを経営するフアン・イン氏。店の外を見れば、スターバックスを含め競合する近隣のカフェが7店も目に入る。まだ店を維持できているだけでありがたい、とフアン氏は思う。

 7月22日、北京でカフェを経営するフアン・イン氏。店の外を見れば、スターバックスを含め競合する近隣のカフェが7店も目に入る。写真は北京のスターバックス店舗。6日撮影(2020年 ロイター/Thomas Peter)

17年前、流行の先端を行く「798芸術区」に自分の店を開いた頃に比べ、利益を上げることはだんだん難しくなっている。新型コロナウイルスの打撃が広がる以前からだ。家賃・人件費が上昇する一方で、ライバルは次々に参入してきたが、市場は期待されていたほどには拡大しなかった。

「以前とは利益は比べようがない」とフアン氏は言う。「2017年に10%値上げしたが、コストの急上昇を相殺するには程遠かった」

中国国内で4400店舗以上を展開し、なお拡大を続けているスターバックス(SBUX.O)の成功に続けとばかりに、西側各国のブランドが磁石に引き寄せられるように中国のコーヒー市場に群がっている。

ティム・ホートンズ(カナダ)は昨年以降、中国国内で約60店舗をオープンした。ラバッツァ(イタリア)とウェインズ・コーヒー(スウェーデン)も中国市場に参入した。

中国コーヒー市場の拡大可能性に対する楽観論の多くは、中国におけるコーヒー消費量があまりにも少ない点に由来している。コンサルタント会社ユーロモニターによれば、昨年は国民1人あたりのコーヒー消費は5.4杯だった。これに対し、米国では341杯、西欧諸国では591杯である。

中国におけるコーヒー消費量は年推定5%程度のペースで成長しているが、フアン氏のようなカフェ経営者によれば、店舗数の急増と激烈な価格競争に注目する方が重要だという。

ユーロモニターによれば、コーヒー・紅茶専門店の新規出店数は2018年・19年に50%も増大し、中国国内の店舗数は現在1万8350店と、2014年の3倍以上となっている。また最近では、コンビニエンスストアやファーストフード店の多くでもコーヒーは販売されている。

中国国内では レギュラーサイズのカフェラテは30元(約460円)前後だが、割り引きクーポンを使えば、場所によっては何と4.5元(約70円)で飲めることもある。

宅配に注力し割引クーポンを多用するラッキンコーヒーが、今年、売上高の3億1000万ドル水増しを認めたことは、中国コーヒー市場の可能性が誇張されていることが裏付けている、とアナリストらは言う。

北京で活動する独立系アナリストのケソ・ホン氏は、「ラッキンの粉飾決算によって、中国の消費者はたとえタダ同然の価格で提供されたとしてもあまりコーヒーを飲まないということが証明された」と語る。

<主流は「茶」>

中国における主要なカフェイン摂取源は茶であり、主要大都市以外では、1日を乗り切るために商品化されたカフェイン飲料を購入するという習慣は定着していない。

タピオカ粒の入ったタピオカティー(バブルティー)もコーヒーの有力な競合商品になっている。フードデリバリー事業大手の美団点評は、2018年にタピオカティーの注文を2億1000万件受けたとして、詳細は明らかにしていないもののコーヒーよりも「はるかに多かった」と述べている。

ラッキンだけでなく、他の国内チェーンにとっても中国の巨大な潜在市場をあてにした「ビッグ・ドリーム」の実現は厳しくなっている。

コーヒー宅配サービスを中心とするコーヒーボックスは約5600万ドルの資金を調達したものの、数十店舗を閉鎖・休業している。高級コーヒーを提供するグレイボックスは、2018年の時点では同年末までに北京で12店舗を展開したいとしていたが、今のところ4店舗に留まっている。ブルーノカフェはほとんどの店舗を閉鎖し、残るは2店舗のみだ。

西側諸国の企業のなかでは、コカコーラ傘下の英コスタコーヒーが、同社ウェブサイトによれば中国国内で300店舗を展開しているが、以前は2018年までに2500店舗という目標を掲げていた。

ロイターではこれらのチェーンにコメントを求めたが、回答は得られていない。

中国のコーヒー市場に参入した最初の大手西側ブランドであるスターバックスは、すでに中国で20年の経験を積んでおり、顕著な成功を収めた唯一の例であるように見える。同社は若い世代のプロフェッショナル向けの高級カフェというイメージを注意深く築いてきた。米国の巨大企業であるスターバックスが中国のコーヒー市場に占めるシェアは最大80%にも達するという試算もある。

ちょうど今週、スターバックスは中国におけるネット注文サービスをアリババ(BABA.N)が提供する複数のアプリに拡大した。

だが新規参入組も、単独では進出しないという賢明な判断をしている。

ラバッツァは、中国国内でケンタッキーフライドチキンの店舗を展開するヤム・チャイナ(YUMC.N)と合弁を組んだ。レストラン・ブランド・インターナショナル(QSR.TO)傘下のティム・ホートンズは昨年、中国国内で1500店舗を展開したいと述べ、テンセント・ホールディングズ(0700.HK)からの支援を獲得した。ウェインズ・コーヒーは、中国における主要フランチャイズ先の1つと15年契約を結んでいる。

各チェーンに、今後の展望についてコメントを求めたが、回答はなかった。

だがアナリストらによれば、たとえ他社と提携したとしても、激烈な競争を考えれば成功は保障されないという。

チャイナ・マーケット・リサーチのベン・キャベンダー氏は、「中国のコーヒー市場が成長を続け、消費者もコーヒーを習慣的に飲むようになるのは確かだろうが、それでもこの市場で成功を収めるのは難しい」と述べた。

(翻訳:エァクレーレン)

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