需要の縮小が始まっている農産物。青森県内の関係者も行方を注視している=6日、八戸市中央卸売市場
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、食材の供給を担う青森県内の市場関係者などに危機感が広がっている。小中学校の休校措置による学校給食の中止をはじめ、ホテルや外食店向けの需要も軒並み落ち込んでいるためだ。現時点で影響は限定的だが、「自粛ムードが長期化するなら、混乱は避けられない」と危惧する声が多く聞かれる。
八戸市教委は3日から春休みまでの休校を決めている。この間予定されていた学校給食の食材費は、計16日分の約8千万円。市内3カ所の給食センターでも、パート従業員らの出勤制限や休業補償への対応検討に追われている。 同市の西地区給食センターなどで調理業務を委託されているグリーンハウス(本社・東京)の渡邉啓志所長は「従業員からは政府方針だから仕方ないという声が聞かれる」と話す。
給食用農産物の中で品質保持期間が短いのは、牛乳だ。東北6県で生産された生乳の販売を担う東北生乳販連(仙台市)によると、学校給食用だった生乳は現在、各メーカーの要望に基づき他業種への飲用や、チーズなどの加工用として振り向けている。担当者は「搾乳後に廃棄せざるを得ないような事態にはまだ至っていないが、外出自粛や給食中止が長期化した場合の影響は不透明」と気をもむ。
「今までに経験したことのない自粛ムード。全国の流通が停滞しないか心配だ」。八戸農協の山美喜正組合長は、生産者の不安を代弁する。
同農協は全国の大都市圏に向けた出荷が販売総額の大半を占めており、県外の給食中止や業務用の需要減の影響を懸念。営農部営業課は「今は農閑期で、影響はまだ限定的。出荷量も例年通りだ」と説明しつつ、「ナガイモなどの主力品目の単価が回復基調だったこともあり、早く混乱が収まってほしい」と、自粛の長期化による値崩れを気に掛ける。
八戸市中央卸売市場では、今週の青果入荷量は前年並みの半面、販売額は全体に単価安で推移。八戸中央青果特産部の宮古春男部長は「ミニトマトやブロッコリーなど一部の品目は荷動きが良く、特にスーパーの需要が高い。安い農産物をどんどん購入して」と消費喚起を呼び掛ける。
昨年、海外産に押されていた県産のナガイモ、ニンニクについても「海外産の在庫が払底すれば、また国産志向が高まるのでは。まずは混乱が収まり、外食を含む需要が回復することが先決だ」と強調する。
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March 08, 2020 at 04:00AM
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