電気自動車(EV)の駆動用バッテリーメーカーが頼みにする自動車メーカーは、バッテリーの自社生産に着手した。加えてコストや技術面で優位に立つ日韓の有名メーカーも相次いで中国に参入してきている。駆動用バッテリー業界のこの冬は極寒となりそうだ。2020年には一層の苦戦を強いられるだろう。
2019年、自動車業界の冷え込みと時を同じくして、駆動用バッテリー業界も冷え込んだ。駆動用バッテリー企業の再編が進んでいる。EVの需要が落ち込んで販売が低迷し、業界ルールのせいで駆動用バッテリーメーカーは代金回収が遅れ、産業チェーン内で借金の連鎖が起こったためだ。
EVが突破口となり自動車メーカーからの受注は激増したものの、駆動用バッテリーの単価下落が止まらない。2010年には1kWhあたり1000ドル(約10万円)だったのが、2019年には150ドル前後(約1万6000円)にまで下がり、2030年までには60ドル(約6000円)まで下がると見込まれている。
販売価格は下落していくが、駆動用バッテリーの材料費の80%はこれ以上のコストダウンがほとんどできない。このため、EVバッテリー業界の利益率は昨年比で15~20%ダウンした。
また、自動車メーカーとバッテリーメーカーの間では売掛取引が慣例となっており、代金回収期間は一般的に3カ月ほど先だ。EVの補助金受取にはもっと時間がかかる。EVの販売がなければ、自動車メーカーは資金を圧縮し、バッテリーメーカーのみならず関連企業への代金返済は遅れがちになる。こうして自動車産業全体で不渡りが連鎖するのだ。
こうして淘汰された結果、3年前には200社あったバッテリーメーカーは、2019年上半期には100社にまで減少した。
全体として新エネルギー車業界の成績は芳しくないものの、キラリと光るものもある。2019年発売されたテスラの「Model 3」は世界中で大ヒットした。テスラの世界での販売台数は1月からの10カ月間で27万台に上り、第2四半期と第3四半期の納車台数は過去最高の水準に達した。テスラの中国国内工場稼働に伴い、部品も地元調達へ続々と切り替わっている。中国の大手投資銀行「中信証券(CITIC Securities)」のデータによると、テスラは2020~2023年にそれぞれ6.6GWh、13GWh、20GWh、27GWhのバッテリーを必要とするとのことだ。
BMW、アウディ、メルセデスベンツなどの高級車メーカーもみな自社開発のEV1号車をリリースしている。
このため、生産能力が低く、コア技術に欠けている中小バッテリーメーカーは撤退を余儀なくされ、大手メーカーによる寡占が始まった。
テスラは真っ先に韓国LG化学のバッテリー採用を決めたが、LG化学だけがテスラの最大のサプライヤーというわけではない。
自動車メーカーの立場からすると、バッテリーメーカーに一元供給をやらせたくない事情があるのだ。テスラはかつてパナソニックにバッテリーの件で痛い目に遭わされたことがある。テスラは今も複数のバッテリーメーカーと接触しており、寧徳時代(CATL)、天津力神(Lishen)、蜂巣能源(SVOLT)などとの関係が取りざたされている。
テスラのバランス術は、バッテリーメーカーとの価格交渉で同社を優位に立たせる。その発注量からして、2~3社から同時に供給を受けるのは当たり前で、価格競争の激化が見込まれる。バッテリーメーカー側がコストカットに持ちこたえるられるか否かが見どころだ。
2019年5月、韓国の大財閥SKグループは33億5000万元(約520億円)をかけて中国に第二の駆動用バッテリー工場を建設すると発表した。6月にはLG化学が吉利汽車(Geely)に2億ドル(約220億円)を投資して合弁会社を設立、その南京工場は既に完成している。7月にはサムスンSDIが陝西省での生産能力拡充プロジェクトに着手すると発表し、4億6000万元(約71億円)を投資した。パナソニックは早くから数億ドル(数百億円)を投じて大連工場に生産ラインを2つ増設、中国の駆動用バッテリーメーカーへ今も絶え間なく出資している。
中国のバッテリーメーカーと比較して、日韓のバッテリーメーカーがコストコントロールでも優位にあるのは明らかだ。調査会社SNEリサーチによると、現在LG化学とSKIの角型バッテリーのコストは1kWhあたり900~1000元(約1万4000~1万5000円)で、寧徳時代の1000~1100元(約1万5000~1万7000円)よりも安いという。
中国では大手の寧徳時代とBYDを除くと、技術面で日韓のバッテリーメーカーに遠く及ばない。外来勢は虎視眈々と中国の駆用動バッテリー市場を狙っている。
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